「全員集合」のステージでいかりや長介さんが見せた厳しさ
「8時だョ!全員集合」には10年以上、出演しましたけど、最初は「どうして出るの?」と彼によく言われました。
私が出ようと思ったのはひとつは歌い手のイメージが壊れないように、コントの段取りを考えてくださったから。いかりや長介さんが最後に汚れてしまうオチを、加藤茶さんとか仲本工事さんにやらせるようにして。いしだあゆみさんとか小川知子さんとか、「全員集合」はあの頃、女性歌手の花盛り。キレイなオチにしてくれたからみなさん、出演OKだったんだと思います。
いかりやさんはステージでは厳しい人でした。オチが屋台崩しでグチャッとなるコントは生放送の本番でしかできないわけです。稽古の時に「このセリフの後のタイミングでね」って何度も何度も確認しました。大道具は親方たちまで来てましたからね。毎週金曜、土曜日は大変だったと思います。私も最初の20分間の大がかりな喜劇に出る時は朝から行ってお稽古していましたから。
それでも失敗はありました。大きなタライがカンッて落ちないで、グチャッてなってしまったり、カラスが鳴くところで鳴かなかったりね。そして前段の喜劇が終わったあと、ガタピシやっている中で歌ったんです。後半のベレー帽かぶって聖歌隊の格好した音楽ネタをやっていたでしょう。ドリフターズって、ビートルズの前座をやったミュージシャンなんだっていう自負があったんだと思うの。お笑いだけど音楽を捨ててなかったってことですよね。