9年ぶり1人23役の代表作に挑む 春風ひとみに意気込み聞く
舞台が訴えるのは戦争の愚かさ
私生活では5年前に一般男性と結婚。再演をしたい理由をいろいろ考えていたが、「ある日、福田先生に、『主人はこの作品を知らないんです、主人に見せたいんです』と話したら、『それなら見せてあげようよ』とあっさり承諾してくれました」。
資金の一部はクラウドファンディングで調達している。
「初演は34歳でしたが、25年経っちゃいましたから、歌もダンスもある長丁場の一人芝居はさすがに体力的にきついので、若い世代に受け継いでいってもらいたいですね。舞台が訴えるのは戦争の愚かさであり、私も『世界から戦争がなくなるまで続けます』と宣言していましたが、戦争がなくなるどころか、キナ臭い時代が近づいているように思います。この舞台で戦争がもたらす『死』とは逆の、生きる喜びと勇気を感じていただければ幸いです。この作品に心血を注いだ木山さんが亡くなって6年。私の芝居の『父』ともいえる木山さんへのご恩返しの意味も込め、初心に帰ったつもりで、演じたいと思います」
(取材・文=演劇ジャーナリスト・山田勝仁)