熱狂マダムを生む出す純烈リーダー・酒井一圭の義理堅さ
その後、なんと彼は「マッスル」でプロレスデビューも果たす。「マッスル」はマッスル坂井が主宰した興行だ。試合のクライマックスで選手たちがスローモーションになり、「情熱大陸」(TBS)のエンディング曲「エトピリカ」が流れるといった演劇的演出を駆使。「プロレスの向こう側」を切り開いてきたエンタメプロレスの極致だ。
酒井はそれに肌が合ったのだろう。けがを抱えながらも継続して参戦していた。また2歳年下のマッスル坂井のよき理解者として、苦悩する彼に寄り添ってきた。その「マッスル」も10年に休止。一方、酒井は同じ頃、純烈の活動を本格化させ、「涙の銀座線」でメジャーデビューを果たした。
そして今年2月、「マッスル」は両国国技館で“復活”。それを酒井が知ったのは「紅白」出場が決まる前だった。坂井に「あれはホントなの?」と確認すると、「もし紅白に出場できたら、純烈としては『マッスル』もぜひ出たい」(AbemaTV「AbemaTIMES」19年2月15日)と、「紅白」出演を前提に参戦を直訴した。
「紅白」歌手がプロレスに出場することにメリットはないだろう。けれど迷いなどなかった。「マッスル坂井がササダンゴ・マシンになったり、それぞれキャリアを積んでるじゃないですか。だから自分としても、純烈で積んだキャリアを持って『マッスル』に戻りたかった」(同前)と。
その心意気で酒井は「ゲスト」にとどまらず、大会の主役のひとりとして壮絶な戦いを見せたのだ。また、「紅白」出場直後もスーパー銭湯で凱旋ライブを行った純烈。そうした義理堅さが、義理堅い熱狂的ファンを生んでいるのだ。