寄席や地方営業 当日の演目を明かさないのは不親切なの?
先日「コンフィデンスマンJP」の映画版見たけど、とにかく面白いんで皆さんも見た方がいいですよ! と小手伸也さんへの忖度も入れて始まる三遊亭鬼丸のコラムです。
さて、皆さんが落語を見に行くときに、どんなネタやるかはわかってて見たいですか?それともナニやるかはわからない方がいいですか? ミュージシャンのコンサートだとセットリストを知らずに行きますし、クラシックのコンサートなら曲名わかってて行きますよね。そして落語はというと……ネタがわかってる場合とわからない場合があるんです。
ホール落語といわれる長年続いてる由緒正しい落語会や勉強会形式の落語会はネタ出しが多く、寄席や地方の営業はネタを出さないことが多いんです。なんで? と言われるとなんでですかね。寄席や地方の営業だとお客さんの質がわからないことが多いからですかね。
質というのは男女比、年齢層、落語への慣れとかです。その場に合わせたネタを選ぶ作業が芸人にとって一番大事なんです。むしろそれで80%くらい成否が決まるかも。だから必ず舞台袖で自分の出番前にお客さんをチェックしてます。例えば沖縄の会場で雪がしんしんと降る寒さが場面の落語をやっても、見てる人が雪を見たことなかったり寒さが想像できないと伝わらないでしょ。女性の多い会場だったら男の情けなさやバカさ加減の出てる噺がウケたり。寄席だと自分の出番の位置によって「トリネタ(大ネタ)」「軽いネタ」「漫談」「新作」と他の演者とのバランスも取りながらネタ選びをしなくちゃいけません。