「十三人の刺客」続く残酷描写 長すぎる35分間の斬り合い
2010年 三池崇史監督
1963年の工藤栄一版をリメーク。稲垣吾郎目当てで封切りを見に行き、グロな残酷描写に絶句した女性もいた。
江戸時代後期。将軍の異母弟である明石藩主・松平斉韶(なりつぐ=稲垣)は残虐行為を繰り返していた。家老が老中に直訴して切腹するや、その妻子を弓矢で殺して楽しむ始末。
老中土井大炊頭(平幹二朗)は事態を憂慮し、目付の島田新左衛門(役所広司)に斉韶の暗殺を命令。新左衛門は腕利きの男たちを従えて中山道落合宿で斉韶の一行を待ち伏せする。一方、斉韶の用人・鬼頭半兵衛(市村正親)は新左衛門の企てを察知し、主君を守ろうとするのだった。
実話を脚色している。斉韶の養子の斉宣(なりこと)が参勤交代の行列を横切った3歳の幼女を咎(とが)め、助命願いを無視して斬首した話がベースだ。
映画の前半は三池監督らしい残酷描写が続く。斉韶は武家の妻を強姦し、夫の死体を切り刻む。百姓一揆の首謀者の娘は手足と舌を切って慰み者に。残酷趣味のために生まれてきた日本版ヒトラー。たった一人の狂人によって人々が虐殺され、争いが起きるわけだ。