日本公開から18年「千と千尋の神隠し」中国で大ヒットの裏
ジブリ映画の「千と千尋の神隠し」が6月21日、中国で公開され、初日興行収入が5587万元(約8億9000万円)、週末3日間で、1億9200万元(約30億7000万円)を記録した。同日公開の「トイ・ストーリー4」(ディズニー/ピクサー)は初日1796万元(約2億8000万円)で「千と千尋」はその3倍とジブリの圧勝。同作は、昨年12月ジブリ初の中国公開作「となりのトトロ」の最終興行収入約28億円をはるかに上回る見込みだ。
中国人ジャーナリストの周来友氏がこう言う。
「アニメのセリフは独特で翻訳ソフトでは訳せない。今回、中国語吹き替えでディテールまで理解できたのは大きいでしょう。また、吹き替え版の声優も話題になっています。釜爺の声は宮崎駿氏とも仲のいい、映画監督の田壮壮が担当していますが、オリジナルの菅原文太さんの声に似ています。声優陣もビッグネームというより、世界観を重視した人選で、無名の歌手を主題歌に抜擢してきたジブリらしい。ポスターを描いた黄海は1作品のギャラが100万元(約1600万円)以上といわれている中国映画界のトップアーティストでジブリの世界観が中国人に100%伝わるよう、細部に至るまで丁寧に作られています。甘やかされて育った中国の子供に“自立していく主人公の姿”を映画を通して伝えたいという、親心に刺さる内容でもあります」