NHK「チコちゃんに叱られる!」は外注制作だから成功した
フジテレビで「笑っていいとも!」や「SMAP×SMAP」などヒット番組を手掛けてきた小松に頼むからには、うるさく注文は付けられない。「生意気な5歳の女の子」「ボイスチェンジャーを使った木村祐一の声」「相手役は岡村隆史」はすべて小松のアイデアで、「自分の思い通り、わがままにやらせてもらっている」と語っている。
これがよかった。もし、いかにもNHK的に、番組名は「街の素朴な疑問ご解明」、司会はお笑い芸人、トンチンカンな回答にも、お決まりの「ブーッ」だったら、話題にもならなかっただろう。
かといって、民放のバラエティー番組にありがちなふざけ過ぎだったら、年配者は見ない。お堅いNHKの程よい型破りが、ウケたのだ。
この春からは、番組の中にも「働き方改革」コーナーが登場した。チコちゃんは後ろ姿だけで、顔は映らない。チコちゃんのクルクル変わる表情は、収録した着ぐるみ映像に後からCGで重ねていくのだが、その作業が膨大で、スタッフを休ませるためだという。
安倍首相の働き方改革は給料が減っただけだが、チコちゃんの働き方改革は楽しい番組を作った。
(コラムニスト・海原かみな)