酷暑を優雅に乗り切る…大人のための「夏休み映画」特集
クソ暑い夏真っ盛り。こんな天気の中を来年の今頃は東京五輪が行われているのだから狂気の沙汰というしかない。五輪にもスポーツにも興味がないというアナタ! だったらエアコンの効いた映画館で優雅に過ごすのが大人というものだろう。
■現代にもつながる異色の戦争映画
夏といえば戦争映画だが、戦艦大和建造をめぐる政治サスペンス「アルキメデスの大戦」はかなりの異色作。次期新造艦計画に、旧態依然とした巨大戦艦を推す帝国海軍の守旧派に対し、空母を推す山本五十六(舘ひろし)らは、切り札として民間の若き天才数学者、櫂直(菅田将暉)をスカウトする。映画は櫂が、驚異的な暗算力で大和の見積もりの嘘と、受注業者との癒着を暴くまでをスリリングに描く。モリカケ問題や新国立競技場など、現代につながる腐敗の構図そのままを暗喩したストーリーや、冒頭の大和轟沈場面など見どころたっぷりだ。
納涼の定番ホラー映画なら「サマー・オブ・84」がいい。1984年の米国の新興住宅地を舞台に、思春期の少年と悪友4人のひと夏の冒険を描く。彼らはちまたで話題の連続少年失踪事件の犯人が、隣に住む怪しげな警官だと決めつけ、監視と尾行をはじめるが……。懐かしい80年代の文化にあふれたノスタルジックな青春ドラマで、年上少女との甘酸っぱいエッチな体験などを織り交ぜつつ物語は進む。やがて終盤はホラーに趣を変え、世にも恐ろしい幕切れが待ち受ける。
キレイな女優のヌードなら「アンダー・ユア・ベッド」
奇麗な女優を見たくなったら「アンダー・ユア・ベッド」がおすすめ。大学時代に好きだった女の子と11年ぶりにすれ違った男(高良健吾)が、DV夫に毎夜陵辱される彼女を救うべく奮闘する純愛スリラー。ヒロイン西川可奈子は多くのシーンが全裸で、主人公の人生を狂わせる運命の女を説得力抜群に演じる。細身なのに意外に豊かなバストという抜群のスタイルで、こんな子をいじめるヤツは許せないと、自宅のベッド下にまで侵入して監視を続ける主人公の暴走変態行為にも思わず共感!?
女子高に赴任してきたガチムチ教師が大奮闘
「守護教師」も女の子を守る系のアクション作品だが、こちらは世界中で人気急上昇中のガチムチ俳優、マ・ドンソク主演の男くさい痛快作。郊外の女子高に赴任してきた教師(ドンソク)が、親友の失踪事件を追う女生徒に寄り添い、巨悪から守り抜くヒロイックなストーリー。元ボクサーとの設定で、腕囲50センチオーバーの太腕を振り回すパワフルな戦闘シーンが迫力満点だ。
三吉彩花が笑って泣かせる人情ミュージカル「ダンスウィズミー」
最後は思いっきり楽しく華やかな感動コメディー「ダンスウィズミー」。登場人物がいきなり踊りだす“ミュージカル映画”を、「音楽が流れると歌い踊る暗示をかけられたOL(三吉彩花)」との設定でクリアしたアイデアが面白い。彼女が暗示をかけた催眠術師を捜す旅に出る東日本ロードムービーでもあり、行く先々で歌って踊って大迷惑をかける展開に大爆笑。最後はさわやかな感動で泣かせる、邦画らしい人情ミュージカルの大傑作だ。
(前田有一/映画評論家)