「風と共に去りぬ」スカーレットはなぜ捨てられたのか?
1939年 ビクター・フレミング監督
来週の日曜(15日)は記念すべき日だ。80年前のこの日「風と共に去りぬ」が米国で公開された。
ストーリーは説明の必要もないだろう。ジョージア州のスカーレットお嬢さま(ビビアン・リー)が南北戦争の時代を生きる話。南軍将校のアシュレー(レスリー・ハワード)がいとこのメラニー(オリビア・デ・ハビランド)と結婚するが、実はスカーレットはアシュレーが好きでたまらない。この三角関係にスカーレットの結婚話を絡めて3時間40分43秒の大作に仕上がった。
ただ、奴隷制度を美化する差別映画との批判も根強い。戦前、本作を見た日本人が「こんな映画を作る国と戦争しても勝てない」と慨嘆(がいたん)した話は有名だ。誰もが一度は見ているはずだが、先週、ある忘年会で67歳の不動産業の男性に「まだ見てない」と言われてビックリした。
前半は南北戦争のスペクタクル、後半はスカーレットとレット(クラーク・ゲーブル)の確執が中心だ。優しく貞淑なメラニーと、失恋の当てつけで結婚するわ、妹の婚約者を奪うわと思いつきで行動するスカーレットの対照的な2人。スカーレットは恋敵のメラニーを見捨てられず、命懸けで守る。出産直後の彼女を馬車に乗せて戦場を脱出。豪雨の中、故郷タラを目指す。野戦病院の大セット、戦火で崩れ落ちる町並みの映像は見応えがある。