「ダイ・ハード」“米国買い”の象徴で奮闘する刑事に興奮
しかも味方はあてにならない。消防車は途中でUターンして帰っていくし、ロス市警は単なる銃乱射事件だろうと軽く見て、幹部はマクレーンに難癖をつけてくる。テレビ局はスクープが欲しくて個人情報を報道。ホリーの同僚は自分だけ助かろうとし、FBIは戦争気分でヘリからマクレーンを銃撃。孤高の刑事は四面楚歌だ。そんな中、黒人警官のアル(レジナルド・ヴェルジョンソン)だけが無線でマクレーンを励ます。
孤軍奮闘のマクレーンは苦難の連続だ。マシンガンの乱射で足の裏にガラスが突き刺さる。大型通風孔を下り、体に消防ホースを巻いてビルから飛び降りる。ただし「ランボー」(82年)のようなゲリラ戦ではなく、ひたすら撃ち合い、ひたすら逃げる。主人公が手近な物を使って爆発などを起こすゲリラ戦術を披露するのはスティーブン・セガールの「沈黙」シリーズあたりからだろうか。
高層ビルの白人警官と地上の黒人警官が見知らぬ者同士なのに無線機で打ち解けていくのも本作の見どころ。さりげない友情話が一服の清涼剤として観客をなごませる。ラストで両者が抱き合う姿がいい。男たちは互いに名乗らずとも、“戦友”が分かるのだ。