「感染列島」が予見したコウモリの毒性と人工呼吸器不足
感染列島(2009年 瀬々敬久監督)
志村けん(70)の死は感染症の恐ろしさをまざまざと見せつけた。新型コロナの猛威が強まる中、思い出したのがこの「感染列島」だ。
2011年、東京・いずみ野市の市立病院に急患が運び込まれ、医師の松岡(妻夫木聡)が治療を担当する。患者は肺炎の症状を示し、目と口から血を流して苦しみながら死亡。市内の養鶏場が鳥インフルエンザウイルスを広めたとされ、経営者は市民の憎悪を浴びて首吊り自殺を遂げる。
感染症を発症した人々が病院に駆け込む中、WHOからメディカルオフィサーの栄子(檀れい)が赴任してくる。栄子は松岡の元恋人だ。正月に始まったウイルス拡散はエスカレートし、1月21日は感染者が4127人、死者は1989人に。世界はこのウイルスを「ブレイム」と呼び始める。「神の責め苦」という意味だ。患者が次々と死亡する事態に気の弱い医師は栄子に当たり散らす。
やがて栄子の尽力によって最初の死亡者の義父が東南アジアの小国でウイルスに感染して帰国していた事実が判明。だが栄子自身も感染するのだった……。