たけしさんの“涙の一曲”に軍団全員が嗚咽し…そしてコケた
答えは「ブーッ!!」。残念ながら井手らっきょがホテルの女性従業員を強引に押し倒すとか、ロック好きの義太夫くんが口にガソリンを含み炎を吐き、それがじゅうたんに引火してあわや大火事になりかけるとかいうことは一切なく(イヤ、時にはあったけど……)、酒が入るといつもいつも殿(たけしさん)を中心にするようにテーブルにつき、殿のスペシャルトークショー(なぜ毎日一緒にいるのに永遠に俺たちを笑わせようとしたのだろう? 今考えると不思議でならない???)にボケて絡んでいく軍団という図式であったのだ。
その俺も殿のトークショーでひとしきり宴の席はにぎわいを見せ、その後、順番で宴会用の舞台でカラオケを歌い、他のメンバーに一斉に突っ込まれるということが続いていた。
酒の酔いもほどよく回ってきたその時、突然、本当にだれ一人として予測していなかったことが起きたのだ。マイクを握り締めた殿が舞台に上がると、その場の空気が明らかに違う神妙な声でポツリポツリと語り出したのだ。あまりにも突然のことなので、言葉の一つ一つを詳細に覚えていないが、その内容は「軍団、おまえたちが好きだ。この世界で絶対に(一生)食えるようになれよ! 売れるよ!!」というものであった。そして、その言葉を発しながら信じられないことに殿のまぶたは濡れていたのだった……。軍団のだれの胸にもその言葉は突き刺さり、そして染み込んだ。何人かの者は嗚咽を隠そうとして肩を震わせていた。
そして、そのあまりにも感動的な空気に殿は逆にバツが悪くなったのだろうか、「じゃ、オレ一曲歌うよ……もしもピアノが弾けたなら」。次の瞬間、軍団、スタッフ全員大コケしたのだった……。 (つづく)