著者のコラム一覧
桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

秋の夜長、やっと正常に戻った連ドラを即行でチェック

公開日: 更新日:

あのあのづくし「危険なビーナス」の見どころは

 コロナのせいで連ドラのリズムが乱れて困る。

 フジテレビ月9「SUITS」なんてまだやっているのかという感じだし、かと思えばTBS「キワドい2人 -K2- 池袋署刑事課神崎・黒木」は9月に始まったかと思ったら6回で終了。もうわけがわからないが、この間にも新ドラマは続々と始まっている……。

 11日スタートのTBS21時「日曜劇場 危険なビーナス」と日本テレビ22時30分「極主夫道」。「危険なビーナス」はあの「半沢直樹」の後番組であり、あの東野圭吾原作、あの妻夫木聡が16年ぶりに日曜劇場の主演を務めるなどと、やたらあのあのづくし。「半沢」で味を占めたのか、やたらと出演者が多い。

「極主夫道」は玉木宏の新境地か

「矢神家30億の遺産をめぐる壮大な謎解き」。妻夫木演じる手島伯朗の前に突然現れる謎の美女・楓を吉高由里子が演じる。矢神家一族は戸田恵子を筆頭に、池内万作、麻生祐未、ディーン・フジオカとくせ者揃いだが、同じ“神”でも犬神家の怖さにはまだまだ及ばず。

「顔芸」が暑苦し過ぎた「半沢」に比べればキャラが弱いのは否めないが、日曜夜にドラマを観賞しようという人にはうってつけ。

「極主夫道」は玉木宏演じる伝説の元極道「不死身の龍」が足を洗って専業主夫になり、主夫道を極めるお話。思った以上にコミカルでイケメン玉木のイカつい顔芸が見モノ。

 組長の竹中直人と姉さんの稲森いずみのはじけっぷりも必見。

コロナ時代!波瑠の「リモラブ」

 日テレ水曜22時は波瑠主演「#リモラブ~普通の恋は邪道~」。

「ソーシャルディスタンスの世界でソーシャルネットワークから始まる恋」というコロナ禍の今を描いている。波瑠演じる産業医の大桜美々は社員たちの健康を守るために日夜奮闘、恋愛はおさぼり気味だったが、ある時オンラインゲームで知り合った相手とSNSでやりとりしているうちに恋に落ちる。相手は同じ会社の人まではわかっているが、誰かはわからない。社内ではマスク着用を徹底しているため、出演者は全員マスク姿で目しかわからない。目の大きな波瑠だからマスクが絵になる。

 コロナの今を描こうというチャレンジは買い。思えば、その昔フジの月9、中山美穂主演「すてきな片想い」がこんなストーリーだった。あの時は顔も知らない相手と電話で話しているうちに恋に落ちた。相手は柳葉敏郎で30年も前の作品だ。時代やツールは変わっても、やっていることは同じで妙に懐かしい。

柴咲コウの同級生役の坂口健太郎が子供にしか見えず

 日テレからもう1本、土曜22時「35歳の少女」。

 10歳の時に事故に遭い、ずっと眠り続けていた少女が25年ぶりに目覚めるという漫画みたいな物語だが、漫画原作ではなく遊川和彦のオリジナル脚本。イヤミス(後味悪いミステリーのこと)ならぬ、イヤドラを書かせたら右に出るもののいない遊川がどんな世界を見せてくれるか。

 柴咲コウが25年も眠っていたせいか、35歳よりもずっと上に見えたのは気のせいか。同級生の坂口健太郎が子供にしか見えないのはどうしたものか。そのあたりは演技力で克服していただきましょう。

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