天竺鼠の瀬下君に睨まれて…奇想天外“天竺ワールド”の原点
私のNSCの授業初日は座学です。私なりの「芸人心得」のような話をするのですが、一番後ろに座ってずっとメンチを切って、講師の私を睨みつけていたのが天竺鼠の瀬下君でした。あの薩摩隼人の濃い顔だけでも圧が強いのに、当時は頭も剃りあげていて、正直「危ないヤツが来たな……」と思ったほど、初日から強烈なインパクトでした。後にこの話を瀬下君に聞くと「当時は講師にナメられたらあかんとマジで思ってました」と照れくさそうに言うので「なんで生徒をナメんねん!」「そうですよね」と大爆笑に。
いざネタ見せの授業が始まると、“メンチ切ってるイカツい青年”とは思えない、わけのわからない“奇想天外なコント”を作るので、見た目とネタのギャップにさらなる衝撃を受けました。
奇想天外な“天竺ワールド”の源は、相方の川原君。「こいつの方が危ないんちゃうか?」と思いましたが、ネタの感想を聞くと、彼なりの“川原理論”を持っていて、これはすぐには理解されないことを承知のうえでやっていると思い、私の世界観からは随分違いましたが「他の講師からは頭がおかしいんか? と言われるかもしれないけど、僕の授業ではとにかく好きなことをやり」と伝えました。後に「あの時、好きなことをやれと言われてほんまにありがたかったです」と感謝をされましたが、基本的に私の授業では若手がやっても意味のない下ネタや誰かを誹謗中傷するような内容のもの以外はなんでもOK。講師が考える“理想形”に当てはめるのではなく、自分たちがおもしろいと思っていることを自由にやってもらいます。そもそもお笑いに「正解」などありませんから、さまざまな形に挑戦してみて、自分たちで「形」を見つけ出すものだと思っています。