マヂカルラブリーはM-1で漫才の可能性を切り開いた革命児
たしかに、19年のミルクボーイをはじめとして、これまで「M―1」で優勝してきたのは正統派の漫才師が多い。マヂカルラブリーのような変則的な芸風の芸人が優勝したのは初めてのことだ。
好き嫌いがはっきり分かれる芸風だったからこそ、その面白さが理解できなかった人たちが不満の声を漏らしているのだろう。そういう論争が巻き起こること自体が、「M―1」という大会の影響力の大きさを示している。
あのダウンタウンでさえ、若手の頃に横山やすしに「おまえらがやってるのは漫才やない。チンピラの立ち話や」と酷評されたことがあった。
新しいものは常に否定される運命にある。マヂカルラブリーにこれだけ賛否両論の声が渦巻いているのも、彼らがそれだけ革新的な試みをしているからだ。
少なくとも、彼らのネタは「M―1」の会場でうねるような大爆笑を起こし、プロの審査員による審査で優勝と認められた。これらの事実の前にあっては、漫才かどうかという議論は些末なものに過ぎない。
誰がなんと言おうと、マヂカルラブリーは漫才の可能性を切り開いた革命児なのである。 (つづく)