談志師匠!老眼水中メガネ、見つけました
調布の日活撮影所にいた俺に、談志師匠からいきなりかかってきた電話は水中メガネをお中元で頼むというものであった……。
しかし、二つ返事で了解した俺に次なる試練が待ち受けていたのだった。
電話の向こうで「老眼」という言葉を持ち出した師匠に対応する俺に「若いおまえが老眼がわかるはずがない!!」という、もう何が何やら頭の中がブラジルのサンバカーニバルで踊るダイナミックボディーのお姉さまたちの行進となっていたのだ。
「いーか、老眼を知らないおまえに教えてやるからな、年をとると目が衰えて近くのモノの焦点が合わなくなるんだよ。それを目を細めて合わせようとすると疲れるし、イライラするしでな……」
そーいうことでしたか! 老眼というワードではなくて体験としての老眼をおまえは若いから知らないとおっしゃりたかったのですね……面倒くせ~なァ!!
「はい、よくわかりました、ということは」「ウム……そーいうことだよ、どっかで老眼用の水中メガネがあるらしいと聞いたんで持ってきてくれや!!」と、そこで一方的に電話が切れたのだった。