弟弟子の立川志の輔に俺は一命を救われた
師匠の談志が海外の落語会に行き、日本にいないのをいいことに練馬の師匠宅の高級酒を勝手に飲むわ、一枚数百万円はすると思われる着物を重ね着して踊りまくるわ、鬼の居ぬ間にじゃないけど、ヒドイ弟子があったもんだわ……そのヒドイ弟子は俺ということになるのだけどさ……。
そんな至福の時間を過ごしている最中……ジョニーウォーカーをラッパ飲みし、師匠に贈られてきた高級ハムを丸かじりしているそんな時、ふっと俺の頭の片隅に不安の種が芽を出したのだった。
その芽はたちまち葉をつけ、幹を太くし、ニョキニョキニョキとテレビのCMにある ♪この木なんの木~気になる木~名前も知らない木ですから~名前も知らない~木になるでしょう~と登場するくらいの立派な木となり、俺の頭の中を占領してしまったのだ。
その大木のようになった不安とは「ヤベ~!! 俺、着物が畳めねーよ(汗)」であった。
いや、正式に言えば着物は本畳みまではできたし(着物にはキチンと箪笥にしまっておく際の本畳みと、たとえば寄席から寄席へ移動するので仮〈?〉に畳んでおくような袖畳みがあります)、羽織や帯にじゅばんだって畳めたのだが、「袴」の畳み方が皆目わからない!!(汗)