百恵さん武道館ラスト 三浦友和が来ているに違いないと…
その瞬間……、シャッターを押せば撮れるコンパクトカメラの僕は、腕を高く上げてファインダーをのぞくこともなく、ただシャッターをいくつか押しただけだった。
社に戻って写真部にカメラごと渡すと、翌日の紙面に百恵さんと友和のツーショットが掲載されていた。
写真部長が僕に声をかけてきた。
「惜しかったな。他にも1紙、同じ写真が出ていた。あれがなけりゃ、部長賞を出していたのに」
その言葉だけで十分。決して忘れられない駆け出し記者の思い出をつくってくれたのが、百恵さんだった。