著者のコラム一覧
ダンカンお笑いタレント・俳優・放送作家・脚本家

本名・飯塚実。1959年、埼玉県毛呂山町生まれ。落語家を目指し立川談志に弟子入り。「立川談かん」として活動した後、たけし軍団入り。お笑いタレント、俳優、放送作家、脚本家と多才で、現在はTAPの専務取締役。

「スーパーJOCKEY」で一世一代の骨折覚悟の神業に挑んだ

公開日: 更新日:

 その極真空手の達人、松井章圭(後に株式会社国際空手道連盟極真会館を設立)をはじめ極真空手の猛者数人が我々のその日の先生であった。

 空手の形から始まり、組手に板や瓦割りと収録が進むのとともにたけし軍団の面々は満身創痍のズタボロになっていくのだった。そして、迎えた最後の挑戦……それは上下の面が縦横30センチほど、そして高さ1メートルくらいの立方体の氷柱を片手の拳一つで真っ二つに叩き割る(折る)という50年インドの山奥で特訓を重ねようが50年滝に打たれる修行をしようが、決してたどり着けないであろう神業であったのだ。

 そして、それにチャレンジすべく選ばれた者は、な、なんとこの俺であった。名を呼ばれた瞬間「ゴキッ!」と手首の折れる音が予告編のように耳の中に響いていた……その耳元に囁く松井さんの声「精神を集中するんです! 自分を信じるんです!!」、ヤダー! 自分なんてこの世でもっとも信じられない~!! と心の中で叫びながらも精神を氷柱の一点のみに集中して手を力いっぱい振り下ろす俺……ボキッと手首が……いや、氷柱が真ん中からまるでスローモーションのように折れ、崩れていったのだった……。一瞬静寂に包まれたスタジオが次の瞬間歓喜の渦となり、その場で松井さんから極真名誉黒帯まで認定されたのだった。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」じゃないけど、アントニオ猪木さんの「元気を出せば何でもできる!!」じゃないけど、人間の精神の力を身をもって知ったのだった。

(つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動