アタクシめの見聞きするところ 元気な先達の方々は肉好き
九十六歳になられる知人、イヤ大先輩がいらっしゃって、我女房の店へ、よく呑みにいらっしゃる。正に矍鑠として闊達、アタクシなんぞ爪の垢でも飲まして貰いたい位のモンで、この大先達(会長とお呼びしてまして、エライ人は取り敢えず会長と云う事で)帝国大学出身、元海軍中尉、現在どこかの会社のホントの会長。あんまり長生きしても仕方ないネー、もういいよ、なんて事をよくおっしゃる。
こんな世の中になるとはネー、面白くないよ、テレビ見ても時代劇は無いし、石倉サンも時代劇やんなさいよ、イヤそりゃあやりたいですよ、しかし手前共の商いは、注文受けてナンボの仕事です。こっちはヤル気満々でも注文がなければ出来ません。そうだネしんどいネー、ま一杯、てな塩梅で実に楽しい酒の場でして、でこの会長、刺身なんかより肉系の料理がお好みで、お聞きする処によると、戦争中でも海軍はメシは割に不自由しなかったそうで、そりゃまそうだろうなあ。一旦港を離れたら帰港出来るとは限らないから充分な食料は確保してるだろうし、それに比べて陸軍は気の毒だよなあ。
昔の戦争映画見て南方戦線に駆り出された兵隊サンなんか敵の弾より飢えに殺されたんだしなあと。尤も船に乗ったら、いつ沈没させられるか判らない。これも恐いしなあ、全く戦争ってのはホントいやだネー!! 絶対やっちゃいけないと、心底思いますよ。