田中邦衛さんは胃腸薬のCMに出演しつつ胃を手術し…
自宅の駐車スペースに車がないので、家族が病院に迎えに行っているのだろうと推察し、玄関先で待っていたのだが、一向に戻ってくる気配がないまま夕方になってしまった。仕方なく、インターホンを押して番組名を名乗り、退院のことを尋ねたのだが、「留守番の者で、まったく分からない」の一点張りだった。
その動きから30分後、局に連絡するとプロデューサーが直々に出て「すぐ帰ってこい」と妙に厳しく言われた。こちらが「スクープですよ。もう帰ってくるかもしれません」といくら説明しても、「理由はあと。戻れ」という指令で局に戻った。そして、その取材に関係した仲間が呼び集められ、プロデューサーから言われたのは、「田中さんから丁寧な連絡があり、確かに退院して自宅に戻ろうとしたが、テレビ局がいるので帰れないでいるそうだ。田中さんは今、胃腸薬のCMに出ていて表沙汰にすると多方面に迷惑がかかってしまう。だから今回のことは他言無用」ということだった。
胃腸薬のCMに胃の手術、そりゃまずいよね……とみんな妙に納得したものだ。役者とテレビが程よくいい距離を保っていた頃のことだ。
今だったらニュースに載せただろう。古き良き時代の出来事である。