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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

10年かかって錦鯉・長谷川が相方にやっと贈れた「宝物」

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 しかし、その後に錦鯉は大ブレーク。このアパートからも引っ越し、ついに歯の治療も始めたという。わずか1年ほどで環境は一気に変わった。

 長谷川のもうひとつの鉄板話といえば「M-1ラストイヤーは56歳」というもの。40歳を越えてコンビを結成したためだ。声をかけたのは相方の渡辺隆から。これが成功の第一歩だった。

「この世界では、セルフプロデュースできる人間が強い、って言われるんですけど、結局、僕はそれができなかった。自分じゃ自分のことわからなくて。それをしてくれたのが隆なんで」(文芸春秋「Number Web」21年2月28日)

 ブレークの大きなきっかけとなった昨年の「M-1グランプリ」(テレビ朝日)決勝では、入場のせりあがり前に「この舞台まで連れてきてくれてありがとう」と声をかけようとしてやめた。「それを言ったら、ちょっと泣いちゃうかもしれないなと思って」(同前)

 冒頭の番組では初めての高級店での買い物ロケ。芸人になりたての20代の頃、デビット伊東が持っているのを見て25年間憧れ続けた「HUNTING WORLD」のカバンを買った。買い物を終えた長谷川は相方・渡辺の家に。実は「今までおごってくれたお返し」のために、財布を購入していたのだ。自分も有吉にもらい「宝物」だと感じているからだろう。

 そしてその財布の中に10年前に渡辺に借りた15万円を入れて贈った。「時間かかりましたよ」と、長谷川は感慨深げにつぶやいた。

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