<51>ドン・ファンは新大阪に向かう新幹線からミス・ワールドに4、5分ごとに電話
待ち合わせに遅れて東京駅にやってきた野崎幸助さんは、スレンダーな長身美女を伴っていた。彼は私に「ミス・ワールドやで」と、誇らしげに紹介した。
「ああ、ウワサはお聞きしています。お疲れさまでしたね」
4月の半ばごろからドン・ファンは「ミス・ワールドと付き合っている」と公言するようになっていた。大会の最終予選に残った女性のようだとは聞いていたが、関心は全くなかった。曲がりなりにも新婚で妻帯者なのだから、どだいむちゃな話である。しかし、電話のたびに「ミス・ワールドはええんや」と彼女の話題ばかりになっていたのも事実だ。
身長は170センチぐらいだろうか。黒が基調の半袖のブラウスに黒のパンツルックで、ショートカットのべっぴんさんだ。宝塚歌劇団にでもいそうな清楚なたたずまいをしていた。
「おはようございます。お世話になっております」
彼女は頭を下げ、「あの、コレを」と、持っていた社長のバッグを私に渡した。第一印象でしかないが、早貴被告と比較したらミス・ワールドに失礼かな? と思うほど、気立てのいい美女だった。