著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<24>俳優Iとの間に結婚話が一度も出なかった理由

公開日: 更新日:

 俳優Iと付き合い始めた飯野矢住代は、週に1度は必ずIの自宅に泊まっていった。不思議なのは、結婚話が一度も出なかったことである。バンドマン時代のジョニー吉長にしろ、歌手Sにしろ、付き合ってすぐ結婚を意識したという矢住代だったが、Iとはそうはならなかったという。あくまでもIの証言によるものだが、「週刊平凡」(1972年1月20日号)もこう書く。

《とすれば、つねに結婚を夢見て生きた飯野矢住代という女にとって、Iという男はなんだったのだろう。ただ、孤独だった彼女の心のうえを通り過ぎていっただけの、ひとりの通過者だったのか。(中略)母の結婚生活を目のあたりに見ているために、矢住代はひといちばい、しあわせな結婚にあこがれた》

 ただ、矢住代がすぐ結婚を意識しなかったのは、別の理由があったとみるべきだろう。母の辰子が持病の結核と心臓病、ぜんそくで清瀬市内の病院に入院していたからだ。病室を訪ねる矢住代の胸には、いつも豪華な見舞いの品々が抱かれていたという。ふぐ刺し、茶巾寿司、純白のシクラメン……。母子はたわいもない話で笑い合った。そして時間が来ると、矢住代は静かに立ち去る。そんな毎日を送りながら、結婚を考える余裕なども、なかったのかもしれない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動