飯野矢住代誕生秘話<23>山口洋子「せっかく美の神に祝福されながら根性は二流だ」
歌手Sと別れた飯野矢住代は、それ以前から「姫」を休みがちになっていたという。当時の芸能誌によると、「ホステスという仕事自体が嫌になった」とある。確かに自由奔放な矢住代にとって、客に媚を売るホステスという仕事は窮屈で仕方なかったのかもしれない。その真意を知ってか知らずか、山口洋子の飯野矢住代評は辛辣である。
《矢住代はせっかく美の神に祝福されて生まれてきながら、その根性は二流だ。精神が二流の女には所詮二流の道しかないのが、酒場女の行く末と運命である。おそらく矢住代は話題は集めても、金も客も人気も集められないマネキン人形の存在で終わるだろう》(「ザ・ラスト・ワルツ『姫』という酒場」山口洋子著/文春文庫)