飯野矢住代誕生秘話<25>俳優Iの部屋に一人残された矢住代はその後、姿を確認されていない
1971年12月27日、月曜日。午後11時。飯野矢住代は恋人である俳優Iと一緒に楽しい時間をすごしていた。「週刊明星」(1972年1月23日号)が書くところによれば、2人は共通の友人の母親が経営する世田谷区北沢の小料理屋の開店祝いに揃って顔を出したとある。一方、「週刊平凡」(1972年1月20日号)には、この日は友人の誕生日で、彼の経営する笹塚のスナックでパーティーが開かれ、揃ってお祝いに駆けつけたとある。笹塚と北沢。小料理屋とスナック。記述にいくつかの齟齬はあるが、2人してお祝いに駆けつけたことと、午前3時まで痛飲したこと、翌朝ドラマのロケがあるためIは一足先に帰宅したこと、残された矢住代は友人たちと渋谷のスナック「深海魚」に移動して朝まで盛り上がったこと。以上は間違いないらしい。Iの証言をひく。
《パーティに行く途中で花を買ったときも、“眠気ざましの薬を買おうかしら”というので、“あんまりへんな薬は飲まない方がいい”といってやめさせた》(「週刊明星」72年1月23日号)
明けて12月28日、火曜日。午前8時。Iの自宅の電話が鳴った。矢住代からだった。