ウクレレ漫談・牧伸二師匠「あ~やんなっちゃった~」誕生秘話
■山手線に乗ってくる人が口々に「やんなっちゃう」って
構成を担当していた関西のトーク番組でゲストに来ていただいた時のこと。牧師匠に「やんなっちゃった」の誕生のいきさつを伺ったところ、「(昭和30年代)なにかいいフレーズがないか考えたんだけど、なかなか思いつかなくてね……。世間の人はどういうこと言ってるんだろうと思って、最初は喫茶店で観察しようと思ったけど、コーヒー1杯でそんなに長くいるわけにもいかないから、山手線で1駅分の切符を買って1日グルグル回ってみたんです。そうしたら『(値上がりばっかりで)やんなっちゃうわね』とか『(ダンナが毎晩遅くて)やんなっちゃうわよ』とか、乗ってくる人が口々に『やんなっちゃう』って言ってるんで“これはひょっとしたら使えるかもしれない”と思ってネタを考えて。やってみたら、それがウケたんですよ。だからみんな何かしらの不満を抱えてたんだね」と当時を思い出すように懐かしそうに話しておられました。
ウクレレは、師匠・牧野周一氏から「なんか楽器持ってみたらどうだ」と言われ、最初はギターを考えたけれど、大きくて移動するのも大変なのでウクレレに。そしてハワイアンの曲をアレンジし、山手線で見つけた「やんなっちゃった」を加えた。これがきっかけで数々の「やんなっちゃった節」が誕生、ウクレレ漫談の元祖になられたそうです。
「フランク永井は低音の魅力、神戸一郎も低音の魅力、水原弘も低音の魅力、漫談の牧伸二低能の魅力、あ~やんなっちゃった、あ~ああ驚いた」がデビュー作。それから1500本ものネタを作られました。
今見ても古さを感じない「やんなっちゃった節」は不滅です。