<85>早貴被告は「警察が疑っているから早くお金を手にしたい」と言った
「最後のご飯なんだから向こうに行っても苦労しないように、仏さんにはてんこ盛りのご飯に一本箸なんだよ」
地方によっては2本箸のところもあるようだが、私はそのように言いながら茶碗にご飯を山盛りにしてお供えした。
■遺体の脇でステーキ
遺体は29日の夕方に斎場に運ばれるまで1階のリビングに置かれた。早貴被告や大下さんは警察で事情聴取があったので、主に私一人が遺体の脇で過ごしていた。
28日の夕方に私がホテルに戻ろうとしていた時、早貴被告はリビング脇のキッチンで夕食の支度をしていた。大下さんは弁当をスーパーで買ったようだが、早貴被告は自分でサイコロステーキを買ってきてフライパンで炒め、リビングのテーブルで食べ始めたのだ。そのわずか50センチ先には棺桶が置かれているのに、彼女は全く気にすることなく平然とステーキを頬張っている。これにはさすがにあきれてしまった。
「肉食は禁止」と言う気はないが、遺体の前でサイコロステーキを食べる感覚というのは、どうしても理解できない。これも私の感性が古いのだろうか?(つづく)