五木ひろしの光と影<11>山口洋子は「男一匹の勝負を挑んでいる」と絶賛した
それをこの三谷謙は、やっぱり気迫を前面に押し出して熱唱した。明らかに選曲ミスである。にもかかわらず、審査員席に座る山口洋子は感動に打ち震えていた。歌唱力も申し分ない。今までこんな出場者はいなかった。いや、プロの歌手でもいないだろう。
「そんな気持ちの悪い歌い方をして」と淡谷のり子が酷評したが、まったく耳に入らなかった。山口洋子は大御所に気兼ねせず、「男一匹の勝負を挑んでいる。殺気というか、ただならぬ気迫を感じました」と絶賛した。
かくして三谷謙は2週目も勝ち抜いた。=つづく