五木ひろしの光と影<19>1971年3月、野口プロ芸能部・第1号歌手「五木ひろし」が誕生した
潤沢な資金と野口修のパワーもあって「よこはま・たそがれ」は好調な売れ行きを示した。札幌市内で有線リクエスト1位になると、レコードチャートの「オリジナル・コンフィデンス」(オリコン)のランキングも、80位、50位、30位と上昇を続け、6月第1週には念願のベストテン入り。6月21日には、フジテレビの人気番組「夜のヒットスタジオ」に初出演。ヒット曲と認められた証拠である。
7月の第3週にはついにオリコン1位に輝いた。わずか半年前に「君の歌い方では売れない」と酷評したのがオリコン社長の小池聰行だったのが、なんとも皮肉である。
一躍、五木ひろしはスターとなった。もちろん、山口洋子の賭けが奏功したのは言うまでもない。しかし、成功に味をしめた野口修にも、今までになかった野望が芽生えるようになっていた。(つづく)