五木ひろしの光と影<18>「先輩、実は新しい芸名が付いたんです」と青年・三谷謙は言った
拙著「沢村忠に真空を飛ばせた男」の主人公である野口修に筆者は、時間をかけて芸能界参入についての話を聞いた。参入を決めたのは1971年1月ごろで、話を振ったのは山口洋子。「いい歌手がいる。カムバックに手を貸さないか」と言われたという。
この時期、野口修は絶好調だった。沢村忠を擁して空前のキックボクシングブームを巻き起こし、人気にあやかろうと参入してきた嵐田三郎(協同プロ)や大山倍達(極真空手創始者)、岡村光晴(岡村プロ)らライバルを蹴散らし、揚げ句に叩き潰した。「キックボクシングブーム」とは「沢村忠ブーム」だったのだ。