<109>家政婦の大下さんは自ら進んでマスコミの取材に応じた
マコやんもうなずいた。
「では、いったん東京に戻りますから」
朝9時すぎに喫茶店を出てレンタカーに乗り込んだ私は、2人に声をかけて高速道路に乗って大阪に向かった。そこでレンタカーを返却して新幹線で東京に向かう予定だったが、和歌山市を通過している時に携帯電話が頻繁に鳴っていたので、SAに入って確認すると全てマコやんからだった。
「大変や。大下さんが自宅の前でマスコミを相手にインタビューを受けたんや。都合が悪いこともしゃべりそうなんで、すぐに自宅に入れたけれど、ワシも仕事があるから一日中監視をするわけにもいかんし……。ヨッシーも早貴もいなくなって1人で自宅にいるから感情をコントロールできなくなったんやろうけど」
困った顔のマコやんが浮かんだ。
マスコミの取材に対して不用意に発言をすると揚げ足を取られかねない。大下さんと早貴被告の2人には、「素人はころりと引っかかりかねないから気をつけて」と私は注意していた。