五木ひろしの光と影<31>奇跡の二冠を達成した野口修の絶頂と転落
「もちろん、淳子ちゃんは大活躍だったけど、アグネスだと思ってた。あれは番狂わせだったと思うな。僕は作曲者でもあるから、ちょっと複雑なのよ。となると大賞の方も『ジュリーどうなの』って感じになってくるよね」
1973年の「日本レコード大賞」候補曲は以下の通り。「ちぎれた愛」(西城秀樹)、「ロマンス」(ガロ)、「わたしの彼は左きき」(麻丘めぐみ)、「なみだ恋」(八代亜紀)、「危険なふたり」(沢田研二)、「白いギター」(チェリッシュ)、「恋文」(由紀さおり)、「夜空」(五木ひろし)。これに最優秀新人賞の「わたしの青い鳥」も加わる。全員が候補曲を歌った後で「作詩賞」「作曲賞」「編曲賞」「特別賞」の発表が行われている間に、帝国劇場2階の会議室で大賞の選考会が開かれた。
「長テーブルがあって椅子が並んでいる普通の会議室です。そこで40人が集まって用紙に書き込むだけ。その場で開票をして決めます。数年後、開票の様子を生中継にしましたが、当時は室内で決めていました」(元「輝く!日本レコード大賞」プロデューサーの砂田実)
開票が済みいよいよ発表のときが来た。司会の高橋圭三が渡された紙を開く。