<137>計算書も何もない簡素な「合意書」に手数料300万円の不可解
私は渋っているFさんから、その合意書をやっとのことで見せてもらった。そこには信じられないほど簡単な文言が並んでいて、証拠となる計算書も添付されていなかった。たった1枚の紙切れである。
「FさんはUとFの2人の弁護士との間で契約書を作成しましたか?」
「いいえ、何もしていませんよ」
「それで300万円もの手数料を取られた?」
「ええ」
これが本当なら大問題である。もっとも高齢のFさんは法律に詳しいわけではなかったので、同席していたという息子さんを交えて、後日3人で話すことにした。
「はっきりと言いますが、Fさんたちはごまかされています。まず、300万円という手数料は一体、誰が取ったと思いますか?」
後日、息子さんも交えて話し合いが始まった。
「弁護士さんでしょ」
「ええ、Fさんがそのように思い込むのも分かります。しかし、あの2人の弁護士は野崎早貴と契約をしているので、相手方であるFさんから手数料を取ることはできないと法律で決まっているんです」
「はあ? そうなんですか?」
Fさんが驚いた声を出した。(つづく)