清原果耶&蒔田彩珠「おかえりモネ」が生んだ“陰キャ女優”なぜ支持される?
昨年放送されたNHK朝ドラ「おかえりモネ」の主人公・永浦百音を演じた清原果耶(20)と、その妹・永浦未知を演じた蒔田彩珠(19)。「動」よりも「静」、「陽キャラ」より「陰キャラ」のイメージがある2人の女優が「おかえりモネ」を大いに盛り上げた。その2人が今期の冬ドラを牽引している。
清原が主演を務める「ファイトソング」(TBS系)はヒューマンラブコメディー。空手の日本代表を目指すも夢破れた養護施設育ちの主人公・木皿花枝(清原)が、「恋がわからない」と悩むミュージシャン(間宮祥太朗)との恋愛を通し、逆境だらけの人生に明るく立ち向かっていく。
清原は、映画「ユリゴコロ」で殺人者の中学生時代を演じ、19年のNHK朝ドラ「なつぞら」では決して楽ではない人生を歩んだ戦災孤児を演じた。
■同時期に撮影した同じ舞台の役柄を演じ分けた清原
さらに「俺の話は長い」(日本テレビ系)では不登校の中学生役、東日本大震災後の東北を舞台に起きた殺人事件を題材にした映画「護られなかった者たちへ」では、生活保護受給者たちを見守る保健福祉センターのケースワーカー役という影のある難役に挑戦してきた。
「『護られなかった』は、『おかえりモネ』と同じ大震災後の東北が舞台で、ほぼ同時期に撮影したにもかかわらず、清原は全く違うキャラを演じ分けました。彼女は当時まだ18歳。基本的に彼女が醸し出す空気は常に“静”ですが、ちょっとしたしぐさやセリフの抑揚で、激しい怒りや悲しみといった感情をしっかり表現できる演技力もある。現在20歳ながら、醸し出すオーラは貫禄十分と言えます。ラブコメの演技といえば、派手なオーバーアクションになりがちですが、清原さんは決して大げさではなく、全体的に落ち着いた雰囲気でドラマが進んでいます。恋愛のドキドキ感もリアルに見ることができ、ラブコメの新しい形が生まれつつあります」(芸能ライター・弘世一紀氏)
蒔田の十八番
一方、「おかえりモネ」で妹役だった蒔田が出演する「妻、小学生になる。」(TBS系)は、堤真一(57)が演じる主人公・新島圭介が、10歳の女の子(毎田暖乃)に生まれ変わった亡妻(石田ゆり子)に再会し、人生を取り戻していく姿を描いたドラマ。蒔田は圭介の長女・新島麻衣を演じている。麻衣はもともと内向的な性格な上、母親を亡くしたことで将来に希望を持てない、時の止まったような10代を過ごした20歳の女性だ。
「これぞ“陰キャ”蒔田の十八番という役柄でしょう。10歳の毎田が母親を名乗り、初めて蒔田の目の前に現れた時の困惑した表情や、状況を受け入れられない態度はとてもリアルでしたし、彼女を母親と認めた時の笑顔には思わずホッとしないではいられないほど。天才少女・毎田の演技ばかりに注目が集まりますが、蒔田も『三度目の殺人』や『万引き家族』といった是枝裕和監督作品の常連です。堤や石田、吉田羊といった出演陣と対等に渡り合う存在感はさすがです」(民放テレビディレクター)
新世代の「陰キャ女優」の2人。今後の活躍に期待したい。