桂南光師匠は社保庁問題の火付け役 番組におもねることのない心意気を見習いたい
この放送以降、関西各地の社会保険事務所への苦情や疑問が殺到し「これはただごとではない」となり「年金問題特集」を組んだように記憶しています。そうこうしているうちに全国で次々とずさんな実態が浮かび上がり、社会保険庁解体につながっていきました。結果的に、南光師匠が社保庁問題の火付け役になったのです。
まだ「桂べかこ」を名乗っておられた若手時代のこと。ラジオのリポーターをされていた時に「レンコン掘り」の中継に行かれ、泥だらけで中継を終えると、シャワーも着替えもなく帰らせようとしたディレクターに「おかしいやろ? ほったらかしかえ? やってられるか!」とその回で自ら番組を降板されたことがあったそうです。
本職が落語とはいえ、若手がレギュラー番組を降りることは簡単にできるものではありません。ましてや“芸人だから何をやらせてもいい”という風潮がまだまだ残っていた時代ですからなおさらのことです。「辞めなくても抗議をして改めてもらえば良かったのに」と思われる方もいると思いますが「そもそもこういう意識で仕事をしている」ということ自体が南光師匠には許せなかったんだと思います。