四月大歌舞伎 猿之助・仁左衛門・玉三郎の奮起でも客席埋まらず
第2部、「荒川の佐吉」は松本幸四郎にとって10年ぶりの再演。その前は仁左衛門の佐吉に、その弟分・辰五郎の役で出ていた。今回は尾上右近が辰五郎を初役で演じている。幸四郎と右近は門閥が異なるので共演するのは珍しいが、息が合っていたので、意外と、いい兄貴分・弟分コンビになるかもしれない。
松本白鸚が5カ月ぶりの歌舞伎座出演で、政五郎親分を演じ、座っているだけでオーラが出まくり、さすがの貫禄。といって出過ぎることもなく、幸四郎をうまくもり立てている。
「荒川の佐吉」のラストシーンは満開の桜で、この季節の上演がふさわしい。続く第3部、片岡仁左衛門と坂東玉三郎の「ぢいさんばあさん」も、桜が物語の中心にある。12月に中村勘九郎と尾上菊之助が演じたばかりだが、やはり、この季節に見たい。
仁左衛門・玉三郎のコンビでの「ぢいさんばあさん」は12年ぶり。前半は子どもが生まれたばかりの若い夫婦で、後半はその37年後の老いた夫婦。その両方を仁左衛門・玉三郎が演じる。2人の実年齢は、舞台の上の老夫婦よりもさらに上のはずだが、老けたメークをする不思議さ。2人の若さに改めて驚愕。ハートウオーミングないい話で、情感たっぷりに演じているのだが、タイトルがよくないのか、完売にできていない。