「ザ・タクシー飯店」主演の渋川清彦は仕事と職にこだわる男がよく似合う
深夜のグルメドラマはテレビ東京のお家芸。その最新作が1日から始まった、水ドラ25「ザ・タクシー飯店」だ。
昔から「安くておいしい店はタクシードライバーに聞け」といわれている。街なかを流しながら、休憩時間に立ち寄った店で食事をする彼らは、味、値段、そして店の雰囲気にも敏感だからだ。
主人公は個人タクシーのドライバー、八巻孝太郎(渋川清彦)。クルマの運転が大好きで、毎日違う街を走ることのできる仕事を愛している。さらにもう一つ、孝太郎が偏愛するのが町中華だ。
栄えある第1話の町中華は、東京・志村坂上の「丸福」だ。偶然入ったにもかかわらず、一瞬で店に馴染む感じが町中華の達人っぽい。見知らぬ客との小さな交流を楽しみ、注文した「チャーハン」と「キクラゲ玉子炒め」をじっくりと堪能する。
食べながら「たまらん、おかずとチャーハンのエンドレスループ!」と心の中でつぶやくあたりは、元祖グルメドラマ「孤独のグルメ」へのオマージュか。そこに「人生は選択の連続。自分が正解と思えば正解なんだよな」といった、八巻らしい言葉が加わっていく。
渋川は在京キー局の連ドラ初主演。どこか訳あり風でいて、仕事と食にこだわりを持つ男がよく似合う。また車中での客との短いやりとりが、しっかり「人間ドラマ」になっているのも個性派俳優・渋川ならではだ。