テレ朝「電脳ワールドワイ動ショー」はココが画期的 初の“考える”国際情報番組
「電脳ワールドワイ動ショー」(テレビ朝日系)は、海外の仰天映像、珍妙映像を次々に流して、呆れたり笑ったりするありがちな動画バラエティーとはひと味違う。世界各国から集めた映像を見て、「『この背景にあるのは何なのか?』『それに対して日本は……?』という、さらに一歩深いところまで踏み込みます」(6月5日付の朝日新聞)と秦一貴チーフディレクターが言うように、動画から見える各国の現状と日本のこれからを考える大真面目な国際情報番組なのだ。
メインキャスターこそお笑いコンビ「バイきんぐ」の小峠英二だが、コメンテーターには国際情報誌「フォーサイト」元編集長の堤伸輔、アフロヘアの朝日新聞元論説委員の稲垣えみ子、いとうせいこうと硬派が並ぶ。いや、小峠だってこの番組では「社会派」を宣言して、ボケやツッコミはかまさない。
番組は、たとえば「世界の建物SP」がテーマのときは、こんな具合に進む。イギリスの火力発電所の冷却塔4基の同時爆破解体は、円筒形の建物が粉塵を舞い上げながら、ソフトクリームが溶けるようにゆらゆらと崩れていき、「すっごい計算なんだろうね」と、いとうせいこう。ここで堤が「イギリスは産業革命で石炭をどんどん使い始めて、霧の都ロンドンなんてロマンチックだけど、実はスモッグ。公害なんです」と解説し、イギリスが石炭火力の発電供給率をこの8年間で38.2%から1.8%まで減らしたことを伝える。火力発電所の爆破解体はCO2排出削減のためで、では日本は……と問題提起する。