映画館は中高年の避暑地! 懐かしの作品続々、青春時代にタイムスリップ
エンジンが炎を噴き、爆音をとどろかせて戦闘機が空母から飛び立つと、はるか大空でケニー・ロギンスの「デンジャーゾーン」が響き渡る。映画「トップガン マーヴェリック」の劇場は、スクリーンで青春時代にタイムスリップしたような顔をした中高年客でいっぱいであった。
還暦を迎えたトム・クルーズはレイバンに革ジャンを羽織り、カワサキの大型バイクGPZ900Rで風を切り、デビッド・ボウイの「レッツ・ダンス」、パワー・ステーションの「ゲット・イット・オン」、さらにジェリー・リー・ルイスの「火の玉ロック」で盛り上がる。無人機の時代となったこともあり、凄腕パイロットのトムも引退を突き付けられもするが、「今日のことじゃないだろう」と、マッハの極限に挑み続ける。トム世代には大いに共感でき、実に元気づけられる作品なのである。
映画は配信の波に押され、コロナ禍も追い打ちとなり、若者を中心に「映画館離れ」の流れができて久しい。
「シネコン大手のTOHOシネマズを筆頭に、一般入場料は26年ぶりに値上げし今は1900円。『夫婦50割引』サービスもTOHOなどで終了となり、庶民の娯楽の王様であった映画観賞はそうそう気軽に楽しめるものでもなくなったとの声が少なからずあるんです」と業界関係者は言う。なるほど、かつて夏休みを前にしたこのシーズンには洋画も邦画も書き入れ時で、新作をこぞって宣伝したものだが、そうした騒ぎもあまり聞かない。