ひと足先にNSCに入った相方が別のヤツとコンビ組んじゃって「おまえ、裏切るんか」と
それで中ぶらりんになって、結局NSCに入ったのは1年後。それでも村田と仲が悪くなったわけじゃなくて、よくアイツの部屋に遊びに行ったりもしてた。俺が大阪に行ってからまず最初にぶち当たったのは自分が宮崎の田舎モンだというコンプレックスで、それまで気にしたこともなかったけど、宮崎弁のなまりが気になってどうしようもなくなったの。それで村田に大阪弁講座をやってもらった。村田も宮崎生まれやけど、小中学校と徳島県で暮らしてた時期があって、それなりに関西弁もしゃべれたんですわ。
ただ、夜にあいつの部屋に遊びに行くと、部屋の中から当時の相方とネタ合わせしてる声が聞こえてきたりしてね。なんかもう浮気されてる気分と言うか、そのままドアも開けずにコッソリ帰って、部屋で一人ネタを書いたりしてました。
ちょうどその頃に読んだのが子供の頃から好きだったビートたけしさんの本。あのたけしさんも浅草のストリップ劇場で下積みしてたって知って「よし、じゃあ俺もそういう場所に行ってトークを鍛えよう」と思い立って、夜のお店で働き始めたんです。まだ若かったせいもあるけど、焦りや悔しさみたいな気持ちはそんなになくて、それよりも夜の街でいろんな人間の姿を見るような生活が刺激的だった。後になって芸にも役に立ってるしね。