三遊亭円楽が話した笑いのコツ「皆が大笑いするタイミングで息を吐いているんだよ」
三遊亭円楽さんが肺がんのため、9月30日に亡くなった。72歳だった。お互いに若い頃、同じ番組にレギュラー出演していて、毎週、顔を合わせてお世話になった。
この連載コラムでも何度か彼の人柄などを伝えてきた。“腹黒キャラ”が売りだった円楽さんは、若い頃から控室などで悪いことばかり話して周囲を笑わせていた。でも、人から嫌われない、不思議なキャラの人だった。
ある時、まだ駆け出しの僕がスタジオを出ると、円楽さん、当時はまだ楽太郎という名だったが、「城ちゃん、ちょっと」と脇に呼んで、おもしろく伝える話し方を教えてくれた。弟子でもないのに、ありがたかった。しゃべりのシロートだった僕を見かねてのことだったろう。こんなこともあった--。
「その場の皆が一斉に大笑いすることがあるだろう。その時は皆、同じタイミングで息を吐いているんだ。それを目指して観客の呼吸を同じように合わせていくテクニックがあって……」
僕が「噺家じゃないんで、そんな難しいことはできないよ」と言うと、「そりゃそうだ」と笑っていた。“ため”や“間”などを含め、プロは客席の吐く息まで考えて話をしているのかと驚いたものだ。