吉高由里子「星降る夜に」は「silent」の二番煎じにあらず 際立つのは“大石脚本”の巧みさ
テレビコラムニストの亀井徳明氏は「数字は誤差の範囲内だし、視聴率で作品の優劣はつけられない」と前置きしつつ、「『星降る』にいちばんチャレンジ精神を感じました」と、こう言う。
「冒頭で音のない世界からのいきなりのキス、そしてゲロなど賛否はあると思いますが。ヒロインの相手(北村匠海)の聴覚障がいを“哀しみ”や“障壁”としてではなく、“個性”として扱おうという姿勢を感じました。しかも初回からキスさせておきながら、産婦人科医(吉高)と遺品整理士(北村)ということで“生と死”についても考えさせる場面もつくり、中高年のドラマ好きにも刺さるような要素も十分あります」
ネット上でも《恋愛ドラマなのに親の死について考えてしまった》《45歳の新人産婦人科医のおディーン様(ディーン・フジオカ)、北村くんと手話でカジュアルな話をするバーチー(千葉雄大)など、贅沢なサブキャラが効いてる》なんて支持する声が優勢だ。中には《『silent』の二番煎じかと思った自分を恥じた》なんて声も。
「恋愛感情のない美男美女を偶然出会わせておいてだんだん盛り上げるのが恋愛ドラマの王道ですが、ファンタジーとリアリティーの微妙なさじ加減でハマるか、シラケるかが分かれるところ。視聴者の好みや立場やその時の気分で解釈は変わるものですが、『星降る』には制作サイドのオーダーも聞き入れながら個性もしっかり出すという“大石脚本”の巧みさ、ベテランならではの凄さを感じましたね」(亀井氏)
恋を“遠い日の花火”と思っているオジサンには、「星降る夜に」がハマるかも。