中川翔子がアルバムで振り返る20年 作曲家・筒美京平さんとの思い出も
イジメを経験した中学時代
「大好きなアニメの主題歌を歌えるようになるんだよ」
「20年後にはたくさん曲が入ったベスト盤を出せるんだよ」
10代の頃の自分に教えてあげたいとしょこたんは言う。中学時代、つらいイジメに遭っていた。
「学校にいるのがつら過ぎて、いつも家で一人ぼっちで絵を描いていました。音楽を聴いていました。それが今の私の仕事につながっています。デビューしてしばらくは、私なんかうまくいくはずがないと本気で思っていて、未来を考えることも怖くて、よく泣いていました。自己肯定感の低さマックスです。“陰キャ(陰気なキャラクター)”という言葉が生まれる前から、私はホンモノの陰キャでしたね」
それでも、イベントやコンサートで歌うと、目の前で子どもたちが大喜びしてくれた。子どもたちの応援が元気のもとになっていった。
「アップテンポで激しい『タイプ:ワイルド』を歌うと、会場は大合唱になります。子どもたちと一緒に歌うことで、私は前向きになれました。ベスト盤には苦しかった時期から前向きになっていく私が全部収録されています。生きていてよかった! と思えました」
目の前で熱狂する子どもたちからエネルギーをもらうことで、しょこたんはネガティブな自分を払拭していく。プラスのスパイラルが生まれた。
■黒歴史が自分のキャリアに
「30代になると、ファンの方々の世代もぐるっとまわりました。元々ライブに来てくれていた人たちが、今度は自分の子どもを連れて会場に来てくれるんですよ。20代のスタッフにも、ちっちゃい頃から見てました、と言ってもらえて。ああ、私の思いはみんなに届いていたんだなあ、黒歴史だと思っていたことがちゃんと自分のキャリアになっていたんだな、と知らされました」
苦しかった頃に必死にまいた種が、知らないうちにたくさんの人の心のなかで花開いていた。
「私が黒歴史だと思っていたことも、貴重な経験として積み重なっていたと思えました。一人ぼっちで音楽を聴いたり、絵を描いたりしていたことが今、全部役に立っています。好きなことを続けてきてよかったあー!」
ブログやツイッターなど、インターネット黎明期から活動を活発に行ってきたしょこたんは、インターネット上でのイジメや誹謗中傷に対しても、積極的に啓蒙活動を行っている。
「ネット上での誹謗中傷が少しでも減ってほしいと思っています。そのために自身の被害をSNS上でオープンにしたこともあります。私、言霊を信じているんですよ。口にしたり書いたりした言葉は現実になります。リアルでもネット上でも、人を傷つける発言は絶対にダメ。現実になるかもしれませんから。だから私は、SNSは何か褒めるゲームだと思うようにしています」
(取材・文=神舘和典)