R-1優勝の田津原理音は芸歴10年目のネタ職人 夢だらけの前途と“穴馬”新王者の重圧
同期はゆりやんレトリィバァ
田津原理音は、1993年、奈良県生まれ。吉本興業大阪所属。芸歴10年目。同期のピン芸人には「R-1」2021年王者のゆりやんレトリィバァと2018年王者の濱田祐太郎がいる。もともとフリップ芸が持ちネタで、演技前のキャッチフレーズでは「限界突破のフリップ芸」と紹介されていたが、全国区の知名度はまだ低く、今回大会でもダークホースとされていた。
放送後の記者会見では、「全く想定していなかったもので、これからどうしようっていう心配の方が大きいです」と本音を吐露。ネタは1、2本目とも舞台よりは緊張せず、平常心でできたと言い、ネタ作りはビスケットブラザーズの原田をはじめ、先輩や後輩、芸人仲間みんなに協力してもらったと言う。賞金の500万円は壊れている電子レンジを買いたいとした。
さらに、「カンテレからのプレゼント」として、4月スタートの天海祐希主演の月10ドラマ「合理的にあり得ない」への出演が発表されると「もう夢があるじゃないですか~!」と返した。
■本人は「銀河一、平場に弱い」
また今大会が、昨年末の「M-1」王者のウエストランドに「R-1には夢がない」とネタにされたことで、王者としてプレッシャーがあるかと記者に問われると……。
「お察しの通り、すっごいプレッシャーです。僕が今後、ちゃんとスターになっていかないと“夢がない”と言われてしまうので。僕、自分では思ってないんですけど、大阪で“銀河一、平場(ネタ以外のフリートーク)が弱い”“地球の言葉がしゃべれない宇宙人よりも弱い”と言われてまして。このままではヤバいって大阪の先輩にも言われてるんで。いろんな人と相談しながら、R-1には夢があるんだって思ってもらえるように、今後、テレビとかも頑張っていきたいと思います」と真顔で答えた。
お笑い評論家のラリー遠田氏はこう話す。
「フリップ芸はやり尽くされていますから、それをはやりのカードゲームのフォーマットに落とし込み、さらにネタ的には、カードゲームをやらない人にもわかるようにしてある練り上げられた内容でした。田津原さんは、ネタに関しては相当な職人だと思いますね。昨年王者のお見送り芸人しんいちさんは、平場でも、毒があって面白かったのに対して、“平場に弱い”と言っていますが、人の良さそうな感じで、さわやかな好青年風ですから、ツッコまれ役になっても面白そうです。いずれにせよ注目度は上がっていますから、今後が楽しみですね」
会見の最後には、「本当に分からないことだらけです。これからなにかと相談させてもらうと思うのですが、皆さん優しく教えてもらえたら幸いです」と謙虚に話した田津原。“平場重視”の今のテレビバラエティーの世界で、新王者の新たな挑戦が始まるか。