石破政権「年金制度改革」先送り模索は国民のためにあらず…高額療養費制度“改悪凍結”と同じ、党内事情を最優先
夏の参院選が迫る中、また怪しい動きだ。5年に1度の年金制度改革をめぐり、石破政権は先送りを探り始めた。無論、物価高に苦しむ国民の暮らしをおもんぱかってのことではない。二転三転の末、改悪を凍結した高額療養費制度と同じ理屈。逆風を恐れる自民党の改選組に突き上げられ、党内事情を優先しようというデタラメである。
年金制度改革関連法案は、今国会の「重要広範議案」の1本。閣法のうち、首相が本会議や委員会に出席する最重要法案で、与野党が協議して指定したものだ。改革法案は、会社員らが入る厚生年金の積立金を使って基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げするのが柱。厚生年金の保険料支払いが生じる「年収106万円の壁」の撤廃や、高齢者の就労を促すための在職老齢年金制度の変更なども含まれている。
■重要広範議案の見送りは憲政史上ない
法案提出は既定路線であるにもかかわらず、負担増への反発を案じた自民の参院側が「勝敗に影響する」などと見送りを主張。法案提出メドの14日が目前となった11日、立憲民主党との国対委員長会談で、自民は「党内の意見調整に時間を要する」などと先送りを示唆した。その一方で「論点を絞って熟議をするためにも、事前に協議してどういうところに焦点を当てるのかをやった方がいい」とも言い、野党との事前協議入りに躍起だ。そのココロは野党を引っ張り込むことにより、参院選での争点化回避。公明党とはあうんの呼吸だ。