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増淵敏之法政大学大学院政策創造研究科教授

1957年、札幌市生まれ。法政大学大学院政策創造研究科教授。専門は文化地理学。東芝EMIやソニー・ミュージックエンタテインメントなどでコンテンツ制作に携わった経歴を持ち、現在はコンテンツツーリズム学会会長や文化経済学会日本特別理事などの公職も務める、コンテンツ戦略の第一人者。「ローカルコンテンツと地域再生」(水曜社)、「『湘南』の誕生」(リットーミュージック)、「おにぎりと日本人」(洋泉社)など著書多数。最新刊に「韓国コンテンツはなぜ世界を席巻するのか」(徳間書店)がある。

(1)第4次韓流ブームの到来 韓国エンタメ界×Netflixの戦略が「イカゲーム」で結実

公開日: 更新日:

「イカゲーム」は経済的に困窮した456人の人たちが巨額の賞金を懸けてサバイバルゲームを繰り広げるというもので、21年9月17日に全世界で同時配信が開始されると、その後の4週間で1億4200万世帯が視聴。Netflix史上歴代第1位を記録した。これは「ブリジャートン家」「Lupin/ルパン」などの大ヒット作をしのぐ記録であった。

 韓国の動画に関しての海外展開の背後には、Netflixとの密な関係構築がある。つまり相互依存の仕組みを築いてきたということでもあろう。互いの方向性が合致したともいえる。海外市場を射程に入れた韓国の方向性と各国のコンテンツに投資をしていくNetflixの方向性である。それが「イカゲーム」で結実した。

 ただ「イカゲーム」のヒットにより、別の問題もまたクローズアップされてきてもいる。確かにNetflix側から見れば、各国のコンテンツに投資をしてきたことが、各国のコンテンツのクオリティーを向上させ、カタログを充実させてきたことへの貢献は否定できない。

 しかしNetflixのビジネスモデルは、制作費を支給するが、興行で収益が急増しても制作会社に対するインセンティブは基本的にはない。

 つまりNetflixのひとり占めという図式が浮かび上がる。またIPの権利譲渡も契約のなかに盛り込まれているともいう。 =つづく

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