西崎緑さん芸道60周年 「思い出の1枚」は20歳の記念の曲のヒット祈願で恩師・遠藤実さんと

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西崎緑さん(63歳/歌手・女優・日本舞踊新宗家)

 必殺シリーズのテーマ曲「旅愁」が今も親しまれる歌手で女優の日本舞踊新宗家、西崎緑さん。幼少期に初舞台を踏んで今年で芸道60周年。秘蔵写真は作曲家の遠藤実と撮った一枚。芸能生活の支えになった恩師との思い出を語ってくれた。

 日本舞踊の初舞台を踏んだのは3歳でした。その後、5歳の時に結婚式のポスターのモデルをやったことがきっかけで、少女雑誌にも出るようになりました。そして、ある日、作曲家の遠藤実先生が社長を務めていたミノルフォンレコードから童謡「赤とんぼ」が出ることになり、ジャケットのモデルに起用されたんです。

 先生はその写真をご覧になって、私の物悲しい表情と髪の毛をかけている大きな耳が気に入ったとおっしゃって、スカウトされました。

 まだ子供ですから、両親が丁重にお断りしたのですが、遠藤先生のご自宅に伺うことになり、園まりさんの「逢いたくて逢いたくて」と笹みどりさんの「下町育ち」を歌うことになったんです。ダッダダララーンと迫力満点に弾く先生のピアノの印象は今も忘れません。

 結局、その後、1年レッスンに通うことになり、7歳の時に「ちいさなプリンセス」という先生の曲でデビューしました。翌年には田端義夫先生とご一緒したデュエット曲「ねんねん船唄」がヒットし、4作続けて先生の曲を歌わせていただきました。

 私は平尾昌晃先生の門下生のように思われていますが、最初は遠藤先生だったんです。平尾先生との出会いは中学生の時。14歳でした。平尾先生が作曲なさった必殺シリーズの「旅愁」がヒットしますが、そのことを誰よりも喜んでくれたのが遠藤先生です。奥さまから「また曲を書きたいと言っている」とうかがいました。本当にうれしかったです。

「旅愁」の後、新幹線の中で偶然お会いしました。先生が「西崎くん」と声をかけてくださって。それがきっかけでNHKのイメージソングを歌わせていただくことになりました。

 そのレコーディングの際、すごく怒られたことが今も深く心に残っています。担当ディレクターの助手の方が譜面を持ってきてくださったので、何げなく受け取りました。すると、先生が急に怒り出して帰られた。自分の曲の譜面を他人に持たせるとは何事だと。後から理由を聞いて反省しました。

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