愚かさを武器にディーン・フジオカは未知の世界を放浪し続ける
アメリカで永住するつもりだった彼を阻んだのは、2001年に起きた同時多発テロだった。ビザが取得できなくなり、アメリカに居続けることができなくなった。そこで彼は大学教授の「これからはアジアの時代だ!」という言葉を思い出し、アジアを放浪する旅に出ることにした(扶桑社「女子SPA!」15年11月26日)。
そして滞在先の香港のクラブでラップを披露していたところ、ファッション誌の編集者からモデルとしてスカウトされ、本格的にキャリアをスタートさせたのだ。
13年に「新しい国でのチャレンジ」(日本商工会議所「月刊石垣」15年11月号)のつもりで、日本に帰国。15年にNHK朝ドラ「あさが来た」で五代友厚役を演じ、大ブレークを果たした。
「拠点を移し、国を変えるたびにターニングポイントが訪れました」(扶桑社「NuméroTOKYO」19年12月号)と振り返るディーン。冒頭の番組では「地球上が自分のプレーグラウンド」と語り、「5年後、10年後、どうなっているか、見えちゃったほうが怖い」「何が起こるか分かんない方が楽しい」とほほ笑んだ。
これからもディーン・フジオカはその場に安住することなく、「愚かさ」を武器に、自分にとって未知の世界を“放浪”し続け、新しいアイデンティティーを作り直していくに違いない。