菜葉菜さんは呑むと毒舌に…酔った大先輩の「ブスだからいいんだ」に「上等」と言い返した
若気の至りで瀬々敬久監督にも食ってかかった
映画の撮影後や舞台稽古の後に監督や共演者、スタッフと飲みに行くことも多いですよ。「ヘヴンズ ストーリー」という瀬々敬久監督の映画を撮影していた時にも、若気の至りで監督に食ってかかったことがありましたね(笑)。
私は片耳が聞こえないロックギタリスト役だったので、ギターを一生懸命練習していました。でも、求められている役になりきれていないという不安を感じていたんですね。「瀬々さん、納得してないですよね?」って聞いたら瀬々さんが「うん、そうだね」って。ショックでした。「大事なシーンで頑張ればいいから」っておっしゃったんですけど、どう頑張ればいいかわからないし、もう悔しくて……。
練習の後、飲みに行ったら瀬々監督が「うまく見せようとしなくていいんだよ」とおっしゃったもんだから、スイッチが入っちゃって、泣きながら「私の気持ちなんてわからないくせに!」って気持ちをぶつけちゃったんです。そうしたら監督が私を指さしながら「それだよ、それ!」と大笑い。「下手でもいいから思いっきりやってくれればいいんだよ!」って……。でも、それから変われたんです。
「ヘヴンズ ストーリー」は私の撮影は2年かかったのですが、大事なシーンを撮り終えた後、瀬々監督が「ありがとう」ってサッと手を出して握手をしてくださった。泣きそうになるほどうれしかったですね。役者としての転機になりました。
(聞き手=中野裕子)
▽菜葉菜(なはな) 東京都出身。保育の仕事を経て、スカウトされて女優に。2005年、映画「YUMENO」で主役に選ばれ本格デビュー。12年「どんずまり便器」でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012のベストアクトレス賞を受賞し躍進。23年に米シカゴ開催の第16回アジアン・ポップアップ・シネマ映画祭で日本人初の功労賞を受賞した。
●9月16日~10月1日
「横浜シネマノヴェチェント」で「女優 菜葉菜特集」を上映。作品は4時間38分の超大作「ヘヴンズ ストーリー」、SM女王役を演じた「夕方のおともだち」、脚だけで演じた「鋼-はがね-」など12作品。